高齢者のヒートショック対策|入浴前・入浴中の注意点と家族ができる予防

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冬になると、高齢の親の入浴で「脱衣所が寒いままで大丈夫だろうか」「ヒートショックを防ぐには何をすればよいのか」と心配になる方もいるでしょう。

高齢者のヒートショック対策では、脱衣所や浴室を暖めるだけでなく、湯温や入浴時間、入浴前後の行動にも注意が必要です。

本記事では、高齢者の入浴時にできるヒートショック対策や、家族が準備しておきたい住環境・見守り方法を紹介します。

高齢の親が、冬も安全に入浴できる環境を考える際の参考にしてください。

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目次

高齢者は冬場のヒートショックに注意する

ヒートショックとは、暖かい場所から寒い場所へ移動したときなど、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、体に負担がかかることです。

特に冬場の入浴では、暖かい居室、寒い脱衣所・浴室、熱い浴槽と短時間で温度環境が変わります。

消費者庁によると、2024年の「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水」の死亡者7,776人のうち、65歳以上は7,363人で約95%を占めました。入浴事故はヒートショックだけが原因とは限りませんが、高齢者の冬場の入浴では十分な注意が必要です。

参考:年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!|消費者庁

寒い脱衣所や浴室では血圧が変動しやすい

暖かい居室から寒い脱衣所へ移動すると、体は熱を逃がさないよう血管を縮めるため、血圧が上がります。その後、浴槽で体が温まると血管が広がり、今度は血圧が下がります。

短時間で血圧が大きく変わると、心臓や血管への負担につながりかねないため要注意です。

冬場は、居室だけを暖めて脱衣所や浴室が冷えたままになっていないか確認してください。入浴する場所だけでなく、居室から浴槽までの温度差を小さくすることが対策の基本です。

高齢者は入浴中の事故にも注意する

高齢者の入浴では、急激な血圧変動だけでなく、熱い湯に長くつかることで体温が上がり、意識がもうろうとする危険にも注意が必要です。

浴槽内で意識を失えば、そのまま溺れてしまうおそれがあります。

消費者庁も、入浴中の事故は「持病がない場合、前兆がない場合でも発生するおそれがあります」と注意を呼びかけています。体調に問題がない高齢者でも、冬場の入浴では予防策を取り入れてください。

参考:みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故|消費者庁

ヒートショック対策では、暖かい居室から浴槽までの急な温度変化を減らすことから始めてください。

高齢者のヒートショックを防ぐ7つの対策

高齢者のヒートショック対策は、特別な設備を導入しなければできないものばかりではありません。脱衣所や浴室の温度、湯温、入浴時間など、毎日の入り方を変えるだけでも対策できます。

ここでは、入浴前から入浴後までに確認したい7つのポイントを紹介します。

脱衣所と浴室を入浴前に暖める

冬場は、服を脱ぐ脱衣所と浴室を入浴前に暖めておきましょう。

居室だけが暖かく、脱衣所や浴室が冷えている状態では、移動したときに体が急激な温度変化にさらされます。

脱衣所に暖房設備がある家庭では、入浴前から使用して室温を上げておきましょう。浴室暖房がない場合は、浴槽のふたを開けたりシャワーを使ったりして浴室内を暖める方法もあります。

暖房器具を使用する場合は、水がかからない場所に設置し、製品の取扱説明書に従って使用してください。

湯温は41度以下を目安にする

高齢者の入浴では、湯温を41度以下に設定するのが目安です。

熱い湯につかると体温が上がりやすく、長時間の入浴では意識障害につながる危険があります。

消費者庁は、入浴事故を防ぐポイントとして「湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう」と案内しています。

参考:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!|消費者庁

寒く感じるからと湯温を上げるのではなく、脱衣所や浴室を先に暖めておく方法を取り入れてください。

浴槽につかる時間は10分までを目安にする

湯船につかる時間は、10分までをひとつの目安です。

適温でも長時間つかり続けると体温が上がり、のぼせや意識障害を起こす危険が高まります。

本人が時間を忘れやすい場合は、浴室で使えるタイマーを利用する方法もあります。家族と暮らしているなら「10分ほどしたら声をかける」と決めておくのもよいでしょう。

時間だけで判断せず、めまい・ふらつき・気分の悪さを感じた場合は早めに浴槽から出てください。

入浴前に水分をとる

入浴前には、水分をとってください。

入浴すると汗をかくため、体内の水分が失われます。喉が渇いていなくても、入浴前にコップ1杯程度の水分をとる習慣をつけておくとよいでしょう。

消費者庁も高齢者の入浴事故を防ぐポイントとして、入浴前の水分補給を案内しています。

参考:コラムVol.12 高齢者の事故―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―|消費者庁

入浴後にも水分をとり、汗で失った分を補ってください。

食後すぐ・飲酒後・医薬品服用後の入浴を避ける

食事を終えてすぐの時間帯や、飲酒した後の入浴は避けてください。

医薬品を服用している場合も注意が必要です。薬の種類によっては眠気やふらつきが出るため、浴槽内で意識を失ったり転倒したりする危険があります。

消費者庁では「食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう」と呼びかけています。

参考:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!|消費者庁

服薬後の入浴について判断に迷う場合は、自己判断せず医師や薬剤師へ確認してください。

浴槽からゆっくり立ち上がる

湯船から出る際は、急に立ち上がらないようにします。

浴槽につかっている間は体に水圧がかかっています。急に立つと水圧がなくなり、血圧が変化して一時的な意識障害につながることがあります。

参考:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!|消費者庁

浴槽の縁や手すりにつかまりながら、ゆっくり体を起こしてください。

立ち上がった瞬間にふらつきを感じた場合は、そのまま歩き出さず、安全な姿勢をとります。高齢者は浴室内での転倒にも注意が必要です。

入浴前に家族へ声をかける

家族と暮らしている高齢者は、入浴前に「お風呂に入ってくる」と一声かけておきましょう。

家族が入浴していることを知っていれば、普段より長く出てこない場合や返事がないときに異変へ気づけます。

消費者庁も「入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう」と案内しています。

参考:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!|消費者庁

家族側も、長時間出てこない場合には声をかけるなど、無理のない範囲で見守ってください。

脱衣所・浴室の温度、41度以下の湯温、10分以内の入浴時間を中心に、毎日の入浴習慣を見直してみてください。

一人暮らしの高齢者は入浴時の見守り方法も考える

一人暮らしでは、入浴中に体調が急変しても家族がすぐに気づけません。そのため、ヒートショックそのものを防ぐ対策とあわせて、異変が起きた場合に早く発見できる仕組みを作っておく必要があります。

ここでは、離れて暮らす親にも取り入れやすい方法をまとめました。

家族と入浴時間を共有する

一人暮らしの高齢者は、可能であれば家族とおおよその入浴時間を共有しておきましょう。

「夜7時ごろに入る」「お風呂から出たらLINEを送る」など、簡単なルールで構いません。

連絡がなければすぐ緊急事態と判断するのではなく、電話をかける、近くに住む親族に確認を頼むなど、次の行動も事前に決めておくと対応に迷いません。

毎日の確認が負担になる場合は、週に数回から始めるなど、本人と家族が続けやすい方法を選んでください。

離れて暮らす親の安否確認を続けやすい方法は、以下の記事で紹介しています。

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スマートフォンや緊急通報手段を使える状態にする

入浴前後に体調が悪くなったとき、すぐ助けを求められる準備も必要です。

スマートフォンや緊急通報機器は、浴槽の中へ持ち込むのではなく、脱衣所など製品を安全に使用できる場所に置いておきます。

ただし、意識を失ってから本人が操作することはできません。ボタンを押すタイプだけでなく、一定時間反応がない場合に家族が確認できる仕組みなども含め、本人の生活に合った見守り方を検討してください。

一人暮らしの親が自宅で倒れた場合に備えておきたいことは、以下の記事で詳しく紹介しています。

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入浴以外の生活環境も確認する

ヒートショック対策をきっかけに、浴室以外の安全も確認しておくとよいでしょう。

一人暮らしの高齢者では、室内での転倒や急病、服薬忘れなど、家族が気づきにくい変化があります。

親の家を訪問した際は、脱衣所や浴室の寒さだけでなく、廊下の段差、手すり、床に置かれた物なども確認してください。

入浴以外にも一人暮らしの親の生活が心配な方は、以下の記事も参考にしてください。

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一人暮らしでは、事故を防ぐ対策に加えて「いつもと違う状態に早く気づける仕組み」も準備しておきましょう。

入浴中に異変が起きたときの対応

入浴中に異変が起きた場合は、無理に入浴を続けないでください。本人が意識の変化に気づいた場合と、家族が浴槽内でぐったりしている人を発見した場合では対応が異なります。

緊急時に慌てないよう、家族も対応を確認しておきましょう。

めまいや意識が遠のく感覚があれば入浴を中止する

めまい、ふらつき、意識がもうろうとする感覚があれば、入浴を続けないでください。

浴槽内で意識がもうろうとしてきた場合、消費者庁は「気を失う前に湯を抜きましょう」と案内しています。

参考:コラムVol.4 冬に増加する高齢者の事故に注意!―入浴中の溺水事故|消費者庁

無理に勢いよく立ち上がると転倒する危険もあるため、浴槽の縁や手すりにつかまりながら安全を確保してください。

浴槽でぐったりしていたら栓を抜いて119番へ通報する

家族が浴槽でぐったりしている人を発見した場合は、浴槽の栓を抜きます。

可能な範囲で浴槽から救出し、反応や呼吸を確認してください。意識がない、正常な呼吸が確認できないなど緊急性が高い場合は119番へ通報し、指令員の指示に従って応急手当を行います。

消費者庁も、浴槽でぐったりしている人や溺れている人を見つけた場合について、浴槽の栓を抜き、可能な範囲で救出や応急手当を行うよう案内しています。

参考:コラムVol.4 冬に増加する高齢者の事故に注意!―入浴中の溺水事故|消費者庁

無理な救出によって家族までけがをしないよう、安全を確保しながら対応してください。

入浴中の異変では、無理に立ち上がったり様子を見続けたりせず、安全確保と早めの救助・救急要請を優先してください。

高齢者のヒートショック対策でよくある質問

入浴中にどのような症状が出たら注意が必要ですか?

めまい、ふらつき、意識が遠のく感覚があれば、すぐに入浴を中止してください。無理に立ち上がらず、可能であれば浴槽の栓を抜いて助けを呼びます。胸の痛みや息苦しさ、ろれつが回らないなど明らかな異変がある場合は、119番へ通報してください。

半身浴ならヒートショックを防げますか?

半身浴でも、ヒートショックを完全に防げるわけではありません。脱衣所や浴室の寒さ、熱い湯、長時間の入浴によって体へ負担がかかります。半身浴をする場合も室内を暖め、湯温と入浴時間に注意してください。

ヒートショックは高齢者だけに起こりますか?

高齢者だけに起こるものではありません。年齢を問わず、急な温度変化によって血圧が大きく変動する場合があります。特に冬場は、脱衣所と浴室を暖め、居室との温度差を小さくしてから入浴してください。

脱衣所の暖房器具は入浴中もつけたままでよいですか?

製品によって異なるため、取扱説明書に従ってください。入浴中に使用できない機種は、脱衣所を暖めた後に電源を切ります。衣類やタオルを暖房器具の近くに置かず、濡れた手で操作しないことも必要です。

高齢者の入浴では湯温を何度に設定すればよいですか?

湯温は41度以下を目安にしてください。熱い湯や長時間の入浴は体への負担につながるため、浴槽につかる時間も10分までが目安です。寒く感じる場合は湯温を上げるのではなく、脱衣所や浴室を入浴前に暖めてください。高齢者の入浴では「41度以下・10分まで」を目安にし、寒さを感じる場合は湯温ではなく室温を見直してください。

まとめ|高齢者のヒートショック対策は入浴前の環境づくりから始めよう

高齢者のヒートショック対策では、脱衣所と浴室を暖め、急激な温度変化を減らすことが基本です。

湯温は41度以下、浴槽につかる時間は10分までを目安にし、入浴前の水分補給や家族への声かけも取り入れてください。

一人暮らしの親なら、入浴後の連絡ルールなど、異変に早く気づく仕組みも考えておきたいところです。

まずは脱衣所の寒さや湯温など、今日から確認できるところから見直してみてください。

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