高齢の親が以前よりゆっくり食べるようになると、「年齢のせいなのか、何か問題があるのか」と気になりますよね。
食事に時間がかかる背景には、歯や入れ歯の状態、噛む力・飲み込む力の変化、食事中の疲れなどがあります。
まず見たいのは、時間だけでなく、むせや食事量、体重など以前との違いです。
編集長こうじ本記事では、家庭で確認できるポイントと食べやすくする工夫、受診を考えたいサインを順番に整理します。
以前と比べて変わったことはありませんか?
食事にかかる時間だけでなく、食べ方や食事量なども一緒に確認してみましょう。 最近気になる変化にチェックを入れてください。
食べ方の変化
あわせて確認したい変化
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高齢者の食事に時間がかかるときは「以前との変化」を確認する


食事が遅くなったと感じたら、何分かかったかだけで判断せず、以前と比べて食べ方が変わっていないか確認してみてください。
途中で箸が止まる、食べきれなくなったなどの変化も、原因を考える手がかりになります。
食事時間だけでなく食べ方も見る
以前より一口を何度も噛む、途中で箸が止まる、食べる量が減った、後半になると疲れた様子を見せるなど、以前との違いがないかを確認しましょう。
順天堂東京江東高齢者医療センターでは、嚥下障害のサインとして「食事に時間がかかる」「食事中にせきこむ」「食後に痰が増える」「体重が減ってきた」などを挙げています。
参考:順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター「みみ・はな・のどのフレイル(衰え)」 資料を確認する
むせ・体重減少などがあれば相談を検討する


食事に時間がかかるだけでなく、むせる、食べる量が減る、体重が落ちてきたといった変化があれば、食事の工夫だけで済ませず医療機関への相談を検討してください。
摂食嚥下障害では、食事中や食後のむせ、水分でのむせ、食事量の減少などがみられることがあります。
むせが目立たなくても、摂食嚥下障害が重くなると誤嚥してもむせない場合があるため、むせの有無だけでは判断できません。



食事にかかる時間だけでなく、食べる量やむせ、体重など以前との違いも一緒に見ておきましょう。
高齢者の食事に時間がかかる主な原因


食事が遅くなる背景には、歯や入れ歯の状態、噛む力、飲み込む力、食事中の疲れなどがあります。
ひとつの原因に決めつけず、普段の食べ方から気になる変化を探してみてください。
歯や入れ歯の状態が悪く噛みにくい
硬い肉や野菜だけ食べるのが遅い、片側ばかりで噛んでいる場合は、歯や入れ歯の状態を確認してみましょう。
国立長寿医療研究センターでは、歯に問題があったり義歯が合っていなかったりすると、うまく噛めない場合があると説明しています。硬いものは食べるのに時間がかかり、食事の後半に筋肉が疲れてしまうこともあります。
参考:国立長寿医療研究センター「食事中にむせませんか?」 資料を確認する
入れ歯が当たって痛む、噛みにくさが続く場合は、歯科医院で確認してもらうとよいでしょう。
噛む力や飲み込む力が低下している
飲み込んだあとも口の中に食べ物が残っている、お茶や汁物でむせるといった様子にも注意が必要です。
厚生労働省は、飲み込んだあとに食べ物が口の中に残る場合、舌の動きや頬の筋力低下が疑われるとしています。一口量や食事にかける時間も、聞き取りの確認項目に含まれています。
参考:厚生労働省「後期高齢者の質問票の解説と留意事項」 資料を確認する
食事の途中で疲れてしまう
食べ始めは順調でも、後半になると箸が止まったり、食べる量が減ったりする場合は、食べること自体に時間と力を使っている場合があります。
日本神経摂食嚥下・栄養学会では、歯や義歯、唾液などに問題があると食べ物を飲み込みやすい形にまとめにくくなり、時間がかかって疲れ、食が進まなくなることもあると説明しています。
参考:日本神経摂食嚥下・栄養学会「高齢者への食支援」 資料を確認する



歯や入れ歯、飲み込み方、食事の後半の様子まで見ると、食事に時間がかかる理由を考えやすくなります。
食事に時間がかかる高齢者に家族ができる工夫


食べる速さを無理に上げるより、食事の硬さや一口の量、姿勢などを見直しましょう。
本人のペースを急がせず、負担になっている部分から調整してみてください。
食べやすい硬さと大きさに変える


硬い肉や繊維の多い野菜を噛むのに時間がかかっているなら、食材の硬さや切り方を変えてみましょう。
肉を薄く切る、野菜をやわらかく煮る、大きな食材を一口で食べられる大きさにするなど、普段の料理でも調整できます。
ただし、むせや飲み込みにくさがある場合は、自己判断で食事形態を大きく変えず、医師や歯科医師などへ相談してください。
食事中の姿勢と一口の量を確認する


体が傾いたり、食事中に姿勢が崩れたりしていないかも見ておきましょう。
安定した姿勢で座れるようにいすや足元を調整し、一口にたくさん入れないようにします。
国立長寿医療研究センターでは、一口量を少なくすることを、むせへの対策のひとつとして紹介しています。
参考:国立長寿医療研究センター「食事中にむせませんか?」 資料を確認する
急かさず食べられる量を用意する


食事に時間がかかっていても、「早く食べて」と急がせるより、本人が飲み込んだことを確認しながら食べてもらってください。
一度に食べきれない場合は、最初から盛りつける量を少なくし、食べられそうなら追加する方法もあります。
毎回たくさん残している場合は、食事にかかった時間だけでなく、実際にどのくらい食べられているかも確認しましょう。



食べる速さを変えようとせず、硬さ・一口量・姿勢・食事量など、負担になっている部分を調整してみてください。
食事をやわらかくする負担が大きいなら宅配弁当も選択肢


毎食やわらかく調理するのは、家族にとって負担になることがあります。
噛む力や飲み込む力に合わせた食事を家庭だけで用意するのが難しい場合は、市販のやわらかい食事を取り入れる方法もおすすめです。
たとえば、ウエルネスダイニングの「やわらか宅配食」は、やわらかさが3段階になっています。
レベル1は容易に噛める、レベル2は歯ぐきでつぶせる、レベル3は舌でつぶせる硬さが目安です。
噛む力や飲み込む力に合わせて選べるのが特徴です。


\ 噛む力に合わせて3段階から選べる /
やわらかい宅配弁当の種類や選び方を比較したい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。


高齢者の食事時間についてよくある質問
- 高齢者が食事に1時間かかるのは長すぎますか?
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今回確認した公的機関・専門機関の情報では、「1時間以上なら異常」とする一律の基準は確認できませんでした。
時間だけで判断せず、以前より長くなったか、途中で疲れるか、食事量や体重が減っていないかなども確認してみてください。
- 食事に時間がかかるときは何科に相談すればよいですか?
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飲み込みにくさやむせが気になる場合は、かかりつけ医へ相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科を紹介してもらう方法があります。耳鼻咽喉科を直接受診しても構いません。
歯や入れ歯の不具合、噛みにくさが気になる場合は歯科へ相談してみてください。
- むせていなければ飲み込みは問題ありませんか?
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むせていないからといって、飲み込みに問題がないとは限りません。
国立長寿医療研究センターでは、摂食嚥下障害が重くなると、誤嚥してもむせなくなる場合があると説明しています。食事量の減少や食後の違和感など、ほかの変化も一緒に確認してください。
まとめ|食事時間だけでなく食べ方の変化を確認しよう
高齢者の食事に時間がかかるようになったら、何分かかったかだけで判断せず、噛み方や食事量、むせ、体重など以前との違いを確認してみてください。
家庭では、食材の硬さや大きさ、一口量、姿勢などを調整できます。むせや食事量の減少、体重減少なども見られる場合は、食事だけで対応せず医療機関へ相談しましょう。



以前との食べ方の違いを見ながら、家庭で調整できることと、専門家へ相談することを分けて考えてみてください。


